今回は(私にしては...)珍しいクルマをテストしたので報告したい。ホンダのバモス。ホンダ嫌い(と言われている...)のアンチ「ミニバン」派としては縁遠いクルマで、確か1999年に発売された当時に3ATの2WDモデルにチョイ乗りして以来、約6年間ご無沙汰していた。ここのところ「
ダイハツ・アトレーワゴン」や「
スズキ・エブリィワゴン」の発売などいわゆる軽ミニバンの世界が注目を集めている。私も食わず嫌いではイケナイ...と先日スズキのディーラーに立ち寄り新型のエブリィワゴンを見て仰天した。室内の広さもさることながら、良く考えられたシートアレンジや涙ぐましい軽自動車枠への挑戦とも言うべきアイディアの数々。日本人が日本人らしく生活する上でこれ以上何が必要ですか...と問われてしまったような気分になった。気になりだしたらトコトンが私の信条であるため、早速試乗と言いたいところだが...なかなか試乗車を潤沢に用意しているジャンルでもないようです。そこでレンタカーを探し、
ホンダレンタリース札幌にバモスの用意が有ると言う事で早速借り出した。(ここはラインナップも豊富だし安い!)朝9:00~夜18:00までの日帰りレンタルで4750円(税金/保険コミ)という安さ。走行距離制限も無いのでテストコースとして通い慣れた札幌~富良野/美瑛の往復に連れ出した。高速道路アリ、峠道アリの軽自動車には過酷なコース。グレードはエントリーモデルの「M」で4WD/4AT 131.8万円だ。実は軽ミニバンのジャンルではこのバモスが販売台数トップ。ライバル2車がモデルチェンジを果たした今、その実力はいかに。エンジンはE07Z型水冷直列3気筒(縦置)で53ps/7,000rpm 6.2kg-m/4,000rpm を発揮する。車重は1,060kg(パワーウエイトレシオは20kg/ps...)。ちなみに、2WDは3ATになり、エンジンもスペックダウンする。(46ps/5,500rpm 6.1kg-m/5,000rpm)スペックだけ見ればもう悲惨な雰囲気です。しかし、4ATを採用しているのがせめてもの救いか。ライバルのNAモデルは4WDとて3ATばかりだし。バモスはエンジンを車体中央に配置するMR方式の為、エンジン音は運転席後方から聞こえてくる。アイドリングは予想に反して静かな部類。(エンジンがドライバーから遠いためでしょう。)さすがに出足は鈍い。モッサリと加速していくが、一旦スピードが乗ってしまえば不満の無い走りを披露する。これは私が想像していたよりもずっと快適な走りだ。高速道路上でも100km/h程度の巡航は特に問題ナシ。エンジンは4速/5200~5300rpm程度回っているが風切り音のほうが大きい。4速/6500rpmの平坦路で125km/h。これが限界付近のようだ。なにせ、標準装着されているタイヤが145R12-6PRという極細プアーなサイズなだけに、ステアリングフィールも乏しいし、ちょっとしたコーナリングでも鳴きが出る。せめて、OPの155/70R13を標準で履いて欲しい。このクルマ、タイヤさえマトモなものを奢ってやれば相当走りそうな予感。(最高速度は落ちそうな気がするが....)MRレイアウトが効いているのだろう。(昔から思い続けているのだが、ホンダのクルマって何であんなにハンドル軽いのかな...。僕は嫌なんですヨネ..)峠道に入っても予想よりもずっと逞しい走りに驚いた。「あぁ~これだけ走ってくれればこれ1台で事足りるナァ....」そんな感想です。(私の期待値が低すぎたのかな...汗)コーナリング性能の限界よりも先にタイヤが音を上げるので逆にアラが見えないのかもしれない。残念な事はシートの出来。運転席もついぞ、ベストな座り方を見つけられなかった。ヘッドレストも適切な角度(ヘッドレストに頭を当てるとすごく寝そべった姿勢になってしまう。)では無いような気がする。オーディオの音質も悪い。これならいっそ、オーディオレスにしてくれたほうが有り難いのでは....。せっかくなので美瑛町「親子の木」の近くでシートをフルフラットにして本を読みながらお弁当を食べてみた。私が歴代乗り継いできたクルマでは出来ない芸当だ。もうこれは「部屋」としか言い様が無いですね。慣れないので空間を持て余しました...。(もっと広いと言うか、全高が高い
バモス・ホビオもある訳で....。)今日1日で317.4kmを走行し、25.67Lを給油。燃費は12.36km/Lとあまり揮わなかった。(これ以上燃費が良くなりそうなコンディションも無さそうなものだが..)通常、この区間を愛車ルポGTIで走れば13~15km/Lは走る。最高記録は18.4km/Lだと考えればもう少し走って欲しい。しかし、レギュラーガスである事や4WD/4ATである事や高速道路・峠道など高回転状態を延々キープしていた事を考えれば妥協すべき数字なのかもしれない。軽自動車=燃費が良いと言うのは案外当てはまらない事を改めて実証してしまった。私は今回乗ったバモスには4ATがあればターボは無くても良いと言う感想を持った。確かにもっとパワーが欲しくなる瞬間も多々あるのだが、常に荷物が満載か、フル乗車で走るのでなければこれで充分と納得した。(2WD/3ATを昔乗ったときは悲惨な走りに閉口した記憶がある。)ライバル車たちも近いうちにテストしてみたいと思っている。先日テストした
ダイハツ・タント L(3AT/4WD) の方が断然非力感が強かった。やはり、3ATと4ATの違いが主要因だろう。エンジン性能が限られている以上、ミッションでカバーされる領域が多いのではないだろうか。(北海道では長距離走行の機会が多いので尚更か。)タントも軽ミニバンのカテゴリーに入りそうな気がする。軽ミニバンの実力は想像以上だ。私がバモスを買うとすれば、トールタイプの
バモス・ホビオのMで4WD/4AT 139.4万円を選ぶだろう。残念な事にABSがOPの為+4.2万円が必要だ。実は結構高価なクルマですよね。タイヤも社外品で13~14inchを揃えるだろうし....確かに自動車税と任意保険は安いかもしれないが、燃費まで含め、経済的とは言い難いようだ。
*目的地の美瑛も天候に恵まれたので、バモスの撮影にもチト頑張ってみました。なにせ、どう贔屓目に見ても美しいとは言えない箱フォルム。難題です。こんなレンタカーを一生懸命撮影しているやつって傍から見たら変な人だよナァ...。(縦長のテールランプがより車幅の狭さを助長しているようで好みではないですね。ホビオの横長の方が安定感があります。)