新年特別企画(笑)と言うことで、いつもメール等で頂いているご質問/ご意見の中で"ダントツトップ"を行く「私はホンダ嫌いなのか?」についてお答えしたいと思う。有り難いことに、このブログを読んだ方から色々な質問やご意見、ご要望を頂く(申し訳ないのですが大抵お返事はしてません)のだが「どうしてホンダのクルマだけ辛口なの?」「ホンダのクルマは最高。だから悪口を書かないで」「VW車なんて保守的なクルマに乗っている人間にホンダの良さは判らない」などなどホンダ車に対して私が書いた辛口コメントに対するお叱り・ご教授のメールが非常に多い。それだけホンダを愛している熱烈なファンが多いと言うことなのでしょうが、率直に申し上げて現在のホンダ車について言えば「概ね嫌い」です。しかしながら、それはあくまで現在の車種についての話であり、今後出てくるであろう新型車については当然別ですし、メーカーそのものやホンダ車に乗られている方々に対してはなんの感情も持っていません。この辺りは予めお断りしておきます。私が現在のホンダラインナップの中で、あえて選ぶとすれば上の2台。S2000とアコード・ユーロRをあげておきます。理由は共にホンダでなければ作れないクルマだろうし、世界的に見てももはや希少と呼べるジャンル。(アコード・ユーロRについては試乗したことがないので走りについては未知数)
残念ながら、ホンダファンにもこの2台はあまり支持されていないようで、販売台数は低空飛行を余儀なくされている。しかし、こういうクルマ作りをホンダには諦めて欲しくない。S2000は386万円~。アコード・ユーロRに至っては265万円~と共に内容を考えればある意味割安感すら感じてしまう。ホンダは熱烈なファンが多い割に、こういうホンダらしいクルマのセールスが苦戦しているのは何故なんだろうか。過去を振り返って、私が好きだったホンダ車を紹介しよう。コンチェルト('88-'92)は輸入車がまだ身近ではなかった頃、英国の香りと共に「小さな高級車」を感じさせてくれた。最近のホンダ車からはすっかり失われてしまった知的な雰囲気を醸し出すスタイリングも良かった。シビックは5代目('91-'95)は好きでしたね。唯一、私が新車の商談をしたホンダ車でもあります。内装はかなりチープでしたが、ハッチバックが今ほど主流では無かった時代。あの頃ハッチバック=シビックでしたね。特にVTECエンジンのSiR・II はカッコ良かった。アコードは歴代モデル共、基本的に好きなクルマだったが、特にリトラヘッドランプを採用していた3代目(特にエアロデッキと初代アコードクーペは衝撃的だった)と日本を見て開発された最後の4代目アコード(特にワゴンボディはこの型が一番好きかな)はクリーンでセンスが良かった。そしてレジェンドクーペ。大人の余裕をムンムンに漂わせてましたね。今風に言えばチョイ悪。もし、こんなクルマが今のホンダにあれば即買いなんですけどね。このクルマ、91年の登場ですが既に運転席/助手席エアバッグ、シートベルト・プリテンショナー、アンチロックブレーキシステム、トラクションコントロールシステム等の安全装備が標準装備なんですね。以来17年間も経過してますが安全装備の普及が進んでないのは残念な話です。こうしてみると、私が好きだったと言えるホンダ車は90年代の前半で終わってるんですね。
1994年にホンダは初代オデッセイの空前の大ヒットを経験し、以降95年にはCR-V、96年のステップワゴン、S-MXなど「クリエイティブムーバーシリーズ」と名付けたお手軽RV車を量販し始める。それまでのホンダが苦手としていたジャンルを逆手にとるように怒濤の商品投入。コンセプトが悪かったとは思わないが、あまりにも安普請でお粗末な走りだったことに当時は驚いたものだ。キャパ、ロゴ、HR-V、オルティア...その後もお手軽クルマ攻勢は続く。ホンダに限らず、この時期の日本メーカーは失われた10年とでも言うべき時代であり、志の低いモデルがゴロゴロしていた。(私もこの時期に日本車に失望し、結果的にVW車に流れていった時期でもある...)ホンダのクルマ作りは初代オデッセイ前後を境目に随分変わってしまったと思う。それから既に10~15年が経過しているが、いまだ最近のホンダが作り出す車に心の底から「欲しい」と思えるクルマを知らない。
実は世間で「ホンダファン」と言われている人達の中にも私と同様、過去のホンダ車のイメージを抱きながら、現行のホンダ車に疑問を抱いている方も居られるのではないか。また、ホンダ車の基幹となる車種(アコード・シビック...)のほとんどが北米で売ることを前提にしている様で、デザインセンスもボディサイズも日本市場にマッチしているとは言い難い。日本では軽自動車とフィットとミニバンだけ売れればよいと考えているのでは?と疑いたくなる有様である。さて、そろそろ結論へ行きたいと思う。冒頭で、現在のホンダ車について言えば「概ね嫌い」と行った意味が御理解いただけただろうか。ホンダが元来得意としていたクルマはフィットのような八方美人ではなく、例え低価格なクルマであってもエネルギッシュでワクワク感を与えてくれるクルマであったはずだ。そんなクルマが出てくるまではホンダ嫌いを継続します。
*アコード・ユーロRってどこかで試乗できないかなぁ。一度乗ってみたいです。